妖しの姫と天才剣士




副長が下から刀を振り上げる。


けれど、そこには何もいない。素振りみたい。


一体何をしたいの?


と、思ったその瞬間。



「うわっ」



爆風が巻き上がって妖から、葉っぱから木から諸々を上空へと巻き上げていった。


確かにこれくらい離れててよかったかも。


ここでも結構散々なことになってる。服とか髪が。


なにあれ…………。



「! まさか……そんな訳………僕たちでも完成してないのに………………」

「俺らを舐めんな。若造」



って言うほどあなたも歳とってないでしょう土方さん。


もしかして私が思ってるより老けてるの?


いや、でもそうなったら総司とかも……?


そう思って総司の顔を覗き込むと珍しく引きつった顔をしている。



「……マジで使っちゃったよ…………。

あいつ抑えれるの土方さんだけなのに……………」



あいつって……土方さんの事じゃないよね。


総司、土方さんの事は「土方さん」って言うし。


しかも、若干怖そう。


ピクッと頬が動いていた。


その瞬間。


シュッ、と風切り音と共に何かが倒れる音がした。