妖しの姫と天才剣士




自分の所為で皆を巻き込んだのにそんな自分は動けないなんて。



「ヘェ〜。敵の前でそんなに喋ってる余裕あるんだぁ〜」


「やっちゃって」と言葉がかかる。



その言葉と同時に妖は動き出す。


これだけ、動きの揃った妖は初めて見た。



「けっ。『妖狩り』の名も持つ俺らを舐めんな。やるぞ、斉藤、山崎」

「承知」

「御意に」



その様子を総司に引き剥がされながら離れた場所で見ていた。


自分の無力さに手を握り締める。


だって、戦場に居てただ見ているだけなんて。


今まで一度もなかった。


今までずっと一人でやってきた。


楽だった。

誰にも頼らずに周り全てを敵だと見なして斬るのは。


でも孤独だった。

全てのものが敵であるというのは私の周りには味方はいないこと。


ここにきて。


新選組に来て誰かを信頼する事を知った。


もし、これで誰かが傷つくような事があれば。



また、あの記憶に苦痛が塗り重ねられる。


強く握りすぎて血が滲み始めた手がそっと解かれた。



「総司?」

「思い詰める事はないよ。あれは副長が三人だけで大丈夫って判断したんだ。

……それを信じよう?」

「……うん」



もう、あの三人に頼るしか……私には出来ないから。


勝てるように願う事しか私には出来ない。