「はっ! 何だそれ⁉︎」
振りかぶられた竹刀の動きを予測する。
そして彼の竹刀を弾くのではなく、ぶつかった私の竹刀を引いた。
「「「なっ……!」」」
半歩足を下げると、その横を体勢を崩した左之さんが通り過ぎていった。
体勢を戻そうとした左之さんの足を払う。
そうして倒れた彼の眉間の間に竹刀の先を突きつけた。
「そこまで! 勝者、茅野沙雪」
「ありがとうございました」
「お、おう……ありがとよ。久しぶりにこれだけ楽しめたぜ。
俺は左之助、原田 左之助だ。左之助って呼んでくれ」
「左之……助さん。ありがとうございました」
感謝の意を込めて私は左之助さんにお辞儀をした。