妖しの姫と天才剣士




「はぁ、はぁ、はぁ」



私は立ち上がって顔を上げる。


一気に妖の目つきが変わった。


敵を警戒している目。


だったら私の事なんて放って逃げてくれればいいのに。


私の事を諦めるつもりもないらしい。


そりゃそうだ。


私は妖の敵であり強くなる為の餌でもあるんだから。


由羅の話で何となく分かった。


妖を粛清してる新選組の為にもここでは死ねない。


自分で妖を強くしてどうするんだって。


皆に死んでまで迷惑は掛けたくないし。


飛び掛かってきた妖の爪を防ぎ、袈裟に斬る。


血がその源ならば怪我も出来ない。


高揚とは違う。でも、私の血が騒いでいた。


こいつらを殺せと。


いくら斬っても変わらない。どんどん湧き続ける。


状況は私の不利のまま一向に動かない。


時間の感覚も曖昧で、どれだけ経ったのかも分からない。


突如、斬り伏せた妖の後ろから現れる妖狐。



「っぁ!」



狐の突進で足場が揺れる。


それを狙ったかのような猛攻撃。


弾いて、避けて、それだけでも結構厳しい。


ヤバイな……これは。


本格的に危険だ。



「ははっ」



死ねないけど、どうしようか。


ここからどう打開する?


皆だったら……。