妖しの姫と天才剣士




走っていた私は急にその足を止めた。


その反応に妖は戸惑う。


再び反転した私は地を蹴る。


低位置から駆け、横に刀を凪ぐ。


霧散した妖だけどまた別の所から湧き出てくる。


厄介な。キリがない。



「チッ。あり得ない」



私はその場所から動かない。


体力を無駄に消費する訳にはいかないから。


それに動かなくても妖の方から襲ってきてくれるからね。


襲いかかってくる妖を斬り捨てていく。




あぁ。土方さんに斬られるかも。


離れちゃったし。逃げたと思われても否定できないや。



緊迫した状態なのに私の頭は全く別の事を考えてる。


何してるんだろうな、私。


そんな私の視界に飛び込んできたのは。


赤い眼をギラつかせた一際大きな妖は大きな牙のある口を開いた。



ガチッと、火花が散る。


斬れな…………っ!



「っ!」



背中に走る重い痛み。


視界が紅く、紅く染まる。


何、これ。


嫌だ。



嫌、嫌––––っ!