妖しの姫と天才剣士




「お前らは夜回りだっけな?」

「はい」



その為に昼間は非番だった。


だから何もする事がない。


正直に言えば暇だった。



「ほう。……まぁ、頑張れや。言っとくがもう一度あんな真似するなら……」

「しませんよ」

「腹切らせるからな」



わざわざ切ったのに言い直してきた。


どれだけ言いたいの。


あ、でも。



「腹切らせてくれるんですね」

「あぁ?」

「私をちゃんと認めてくれているようで」



ただ殺されるものだと思っていた。


俗に言う斬首?


腹切は名誉の死に方だから。


そんなもの私に許されるなんて思ってもなかった。


女だし。


ただ、己の為に見知らぬ命を断ち切ってきた罪深き私には。



「お前も俺らの仲間だ。その位はしてやるさ」

「……くくっ。ありがとうございますね土方さん」



私は武士になりたい訳じゃない。


ただ。






私が私である事を認めて欲しかった。


ただの肉塊ではない事を。





もう、紅雪には堕ちない。その事実で目を曇らせない。