妖しの姫と天才剣士




「ったぁ〜。また、一でしょ」



小突かれた額をさすった総司はパチリと視線を私に向けた。


その途端、顔色を変えた。焦るというか、顔を赤くするというか。



「っつ! ゴメン! 大丈夫だった?」

「大丈夫って何が?」

「…………何でもない」



慌てふためいた総司に首を傾げた。



「ねぇ、何なの」



って聞くと視線を逸らされた。


大丈夫って何が? こっちが聞きたい。



「……もう着替え……いや、僕ちょっと出て来るから」

「は? その格好で?」



総司はまだ着替えてない。


私もだけど。


そんな時間なかったしね〜。



「じゃなきゃ、茅野ちゃん着替えられないでしょ。部屋なら一にでも借りるし」



大きくあくびをすると着替えを持って総司は部屋を出た。


何か、申し訳ないな。


ここ総司の部屋なのに。



「私、物置に戻っても良かったのに」



着替えも昨日のしかない。


夜しか着てないけど。


いいや。昼間非番だし、その後にでも着替えよう。


そう思って、帯を緩めた。