妖しの姫と天才剣士




「私、風邪引いたことないし、体は丈夫なんだから!」



私だって困惑してる。


まさか、自分からこんな事言うなんて。


昔だったら絶対に考えられない。



「そ、そこまで無理しなくたっていいから……! 第一、男が女の子を差し置いて布団で寝るのも」

「無理なんてしてないし、こんな所で女扱いするな!」



叫んでしまって夜なのだと気がついた。


ああ、沈黙がキツイ。


自分で言った分、余計に。



「………………」



何だか理不尽だけど総司にキレてきた。


そこまで私の事嫌いですかぁ〜って。


でも、実際に聞いたら『え? そんなの当たり前じゃん』って返ってきそう。


想像したら悲しくなる。


最近、こんな感じが多くなった気が。


総司と居るとモヤモヤして、顔が熱くなって、一人で落ち込んだり。


恥ずかしいから離れていたい気もするけど。


離れたら、離れたでとっても悲しくなる。


……訳、分かんないよ。


分かんないっ。


最近、自分で自分が分かんない。


こんなの絶対おかしいよ……。


自分の考えで周りの声が聞こえてなかった私。


だから総司がこう呟いた事に気がつかない。



「……ほんっとに、困らされるよ……沙雪……」