妖しの姫と天才剣士




「「…………」」

「「は?」」



沈黙から言葉まで全部総司と被った。


土方さん笑い堪えてるし。


てか、何? い、一緒に寝ろって。



「な、何言ってんの? 土方さん。意味分かんないよ? 冗談言って」



それは総司も同じみたいだった。



「このままだったら絶対茅野はここを逃げ出すからな」



睨みつけられ、返す言葉もない。


実際今日にでも出るつもりだし。


……こ、この流れ。確実に失敗してるよなぁ〜。



「それを防ぐ為だ。茅野もお前と一緒なら逃走しようとはしねぇ筈だからな」

「そ……そんなの分からないじゃん」

「いや、確実に茅野は逃げ出せねぇよ。総司が近くいる限りは」



そう言われて否定しようとした。


だって、総司が居なくても逃げ出さないって。


逃げ出すつもりないって嘘を。


でも。


いざ、総司と離れる事を想像すると。


嫌だと思ってしまう私がいる。


今さっきまで遠ざかろうとしていたのに。



「言っとくが、これは命令だからな。破ったら二人ともそれ相応の罰を覚悟しとけよ」

「ちょ…………!」


それだけ言い残すと土方さんは去っていった。


言いたい事だけ言って去るなんて……。


ほら。


気まずい雰囲気が流れてしまった。