「さ、私は授業の前にひと眠りするかな」
「えぇ! 話そうよ~」
「えー、イヤだ。眠い」
「そんなこと言わないでさ、ね?」
「そんなにヒマなら林とイチャついてきなよ。アイツ、もうそろそろ来るでしょ」
「い、イチャつくって……! 絶対ヤダ!」
「ほら、ウワサをすれば来たよ。いってらっしゃい。じゃあ私は、おやすみ」
「ちょ、律……っ」
律は私が言い返す間もなく、机に伏せて寝息を立てはじめた。
は、早……。
私は律を起こすのをあきらめて、自分の席に着いた。
「はぁ……」
ため息をつきながら、机に背負っていたリュックを置くと。
「おはよ、チビ。今日は遅刻ギリギリじゃなかったんだな」
となりから、いつものように憎たらしい声が聞こえてくる。
「林こそ。っていうか、チビって呼ぶのやめてくれる!?」
「は? なんで? 俺は事実しか言ってねぇけど」
う、うざ……。
人のコンプレックスをあだ名にしてくるなんて、性悪だ。
昨日、ちょっと優しいなとか、カッコいいなとか思ってしまった自分を殴りたい。
こんなヤツ、全然優しくもないし、カッコよくもない!



