「なに?」



お母さんの表情からして、ものすごく深刻な話っぽいな……。
なんだろう。



「じつはお母さんね……」



私は息をのむ。



「少し前から、お付き合いしている男性がいるの」



「……ええぇーっ!?」



お、お付き合いしている男性って……つまり、彼氏……?



「う、ウソ……いつのまに……」



そんなの全然知らなかったよ……。



「お母さんのパート先の常連さんでね、お話をするうちに意気投合したの」



お母さんは近所の喫茶店でパートをしている。



そこの常連客さんか……。



「へぇ……そっか」



「桜菜は……どう思う?」



「私はいいと思うよ。お母さんが幸せになれるなら」



お父さんが亡くなった当時、毎日のように仏壇の前で泣いていたお母さん。
そんなお母さんを見て私は、もしお母さんが新しい男性との恋に進めたら、応援しようって決めていたんだ。



だから、お母さんが幸せになれるなら、私は応援する。