「…………」
どうすればいいんだろう。
このまま桜菜を追いかけないべきか?
でももし追いかけないで、桜菜がヘンなヤツにからまれたりしたら……。
……よし、追いかけよう。
どれだけイヤがられても、桜菜になにかあったら困る。
俺は桜菜の歩いていった方向へ走った。
すると、桜菜の背中が見えてきた。
「おい! 待てよ」
その背中に向かって叫ぶと、桜菜は振り返ってにらんでくる。
げ……怒ってる。
「もう! ついてこないでって言ったじゃん! さっさと帰りなよ!」
「ムリだし」
「はい?」
「お前を家に送るまでは帰らない」
「なに言って……」
「ほら、行くぞっ」
「ちょ、林……っ」
俺は少し強引に桜菜の腕を引いた。
桜菜、見てろよ。
絶対にお前を俺のモンにしてみせるから。