「ふぅーん……意外に理想低いっていうか、夢がないんだね」
「意外ってなんだよ! 意外って!」
桜菜はいったい、俺にどんなイメージ持ってんだよ……。
「べつに~」
桜菜の家の最寄り駅に着き、駅の改札を出る。
「家、どっち?」
「右」
桜菜のとなりを歩くのに、やばいぐらい緊張する。
周りから見たら……俺と桜菜って、カップルみてぇなのかな。
そう思うと、にやけそうになる。
「なに、にやけてんの。気持ち悪い」
「は!? に、にやけてなんかねぇし!」
ウソだろ……思いっきり顔に出てた……。
「ふぅーん? なんかヘンな妄想でもしてたんでしょ?」
ぎ、ギクッ……。
コイツ、こういうところは妙に鋭いよな……。