「で、でも……」
「いいから気にすんな」
「うん……」
俺と別れたあとになにかあっても困るし、ここは家まで送り届けるのが男の使命だろ。
学校の最寄り駅に着いて、電車に乗る。
「……ていうか、林って父子家庭だったんだね」
「あぁ、数年前に離婚してさ」
「うちは母子家庭なんだ……って、どうでもいいけどね」
へぇ、桜菜って母子家庭だったんだ。
お互い、片親だという共通点を知って、親近感がわく。
「意外なところに共通点があってビックリだなぁ……アンタと共通点なんて、あんまりうれしくないけど!」
「それはこっちのセリフだし」
俺はまた、思ってもいないことを言ってしまう。
「今日の林、急に優しくなったりするから頭おかしくなったのかなぁって思ったけど、やっぱり林は林だね」
桜菜がクスッと笑う。
「なんだよ、俺が優しくしちゃヘンかよ」
「うん、ヘン」
「はぁ? 俺だってな、優しいところもあるんだよっ!」
「自分で言うな」
桜菜が背伸びをして俺の頭にチョップした。



