「……仕方ないから、一緒に帰ってあげる。今日だけね!」
少し頬を赤らめて、桜菜はそう言った。
……気づいてないな、この反応は。
どれだけ鈍感なんだコイツは……。
「……で、いつまで腕つかんでるつもりなの?」
「あっ、わ、わりぃ……」
あわてて桜菜の腕をつかんでいた手を離す。
俺ってば、なにやってんだ……。
てか、今日の俺、挙動不審すぎるだろ!
落ちつけよ!
と、自分にツッコミを入れる。
「お前、家どこ?」
「東町だけど」
東町か……それならそんなに遠くないな。
電車1本で行ける。
「じゃあ家まで送る」
「え!? いや、そんな気つかわなくていいし。電車乗って2駅で降りて、歩いてちょっとだし。それに、林の親御さんだってはやく帰らないと心配するよ?」
「大丈夫。俺、父子家庭で親父は夜遅くまで仕事だから」
そう、うちは父子家庭だ。
数年前に親父と母さんが離婚した。
だから親父とふたり暮らし……って言っても、親父は遅くまで帰ってこないことがほとんどだ。



