「ったく……」
チリトリにゴキブリを取ると、ごみ箱に捨てた。
「はい、これで大丈夫」
「はぁ~~……」
桜菜はホッとしたのか、大きなため息をつく。
……今の俺、優しかったんじゃね!?
このまま桜菜に俺を意識させるんだ!
「だ、大丈夫か?」
慣れない優しい口調で桜菜に話しかける。
「うん。その……ありがと」
すると、桜菜は涙目でそう言った。
……やべぇ。
涙目でデレるとか、反則だろ。
あ~……どうしよう、今すぐ抱きしめたい。
でも、急にそんなことしたら絶対に気持ち悪がられる。
俺は理性が切れそうになるのを必死に抑えた。
ダメだ、俺が桜菜にドキドキさせようって思ってたのに、俺が桜菜にドキドキさせられてる。
やばい、今俺、顔赤いかも。
熱い顔を隠すように、桜菜から顔をそらす。



