「はぁーあ、王子様みたいに優しくて、私を一途に想ってくれる彼氏ほしいなぁ」



「お前みたいな、おっちょこちょいのバカを想ってくれるヤツなんて、相当な物好きじゃねぇといねぇよ」



私の嘆きに、憎たらしい言葉が返ってきた。
振り返ると、林と園田くんがいた。



「うるさいなぁ……」



私だってね、その気になれば彼氏のひとりやふたりぐらい……!
って、今まで一度も彼氏なんてできたことないけど。



「まぁ、お前がどうしても彼氏がほしいって言うんだったら、彼女にしてやってもいいけど?」


はぁ!?
冗談じゃない!



「アンタの彼女になるくらいなら、一生ひとり身の方がマシ」



「なんだよそれ! 俺がせっかくお前に彼氏ができるチャンスを作ってやったってのに」



「余計なお世話!」



「お前、そんな性格じゃ一生、彼氏なんてムリだろうな」



林がバカにしたように笑う。



「林の性格の悪さには及びません!」



……って、またケンカしてた。
我に返って、口を手でふさぐ。