「だってさぁ、桜菜と林が付き合ってるって思ってる人だって少なくないよ? それほど周りから見れば仲よしってことでしょ」



「そ、それは……」



たしかに、何回か林のことを好きな子に、林と付き合ってるのかって聞かれたことがある。
そのたびに、ちゃんと付き合ってないって言ってるんだけど……。
やっぱり私と林が付き合ってるって思いこんでいる子も少なくないようで、たまにすれちがいざまにイヤミを言われることだってある。



林のせいだ……ほんとアイツとからむとロクなことない。
まぁ、べつに気にしてないけどね。
その子たちが勝手に思いこんでいるだけで、実際付き合ってないんだもん!



「この際、ウワサに便乗してほんとに付き合っちゃえば?」


律がニヤニヤしながらそんなことを言ってくる。



「なに言ってるの!? 絶対イヤだし!」



「なんでー? 林ってそんなに悪くないと思うけどなぁ」



「律はアイツの性格の悪さわかってない! アイツはほんとに腹黒で最悪だからね!?」



アイツは私が学校で……いや、世界で一番大嫌いなヤツだ。
アイツさえいなければ、きっと私は今頃、素敵な青春ライフを送ってたはずなのに……!