「こら! 常盤! 聞いているのか?」




先生に呼ばれた公生くんは、前髪をいじりながら、「はい?」と言った。




「授業中だぞ! ほれ、この問題、解いてみろ!」




先生からチョークを投げられ、それを右手でパシッと受け取ると、席を立ち、黒板の前でスラスラと数式を解いて、カチャッとチョークを置いた。




「これでいいっすか?」




先生の表情を察するに、正解なんだと思う。




公生くんは、フッと笑って、自分の席に戻り、またさっきみたいに外の風景に目を戻した。