私も公生くんの背中に手を回した。
そして、公生くんに負けないくらい、優しく、しっかりと抱きついた。
「でもね、私、加持くんと付き合ってるんだよ?」
「わかってる」
「嫉妬してる?」
「ほんのちょっと」
「でもね、私が本当に好きな人は公生くんだって気づいたんだ。本当はもっと前から、あの日、公生くんが倒れた自転車直してくれた時から、わかっていたのに……ごめんね」
「いいさ」
「私、加持くんにちゃんと言う。ちゃんと、本当の気持ち伝える。だから、それまで待っててくれますか?」
公生くんは、私の耳元でそっとこう囁いた。



