「ちょ、ちょっと公生くん!?」
「いいから、ほら、座ってろよ」
そう言って、ソファーに私を座らせ、腕まくりをしながらキッチンに立った。
「コーヒーどこだ?」
お姫様抱っこなんて、結婚式でされるものだと思ってた。
初めてされて、しかも、公生くんとリビングに二人っきりっていうこの状況……袖を捲った腕がたくましくて、そりゃラグビー部とは比べ物にならなかったけど、たくましくて……。
「おい、聞いてるか?」
「え? あ、えと……右の戸棚に入ってると思うよ?」
公生くんは、少しかがんで、「ああ、これか」とインスタントコーヒーを取り出す。
「ミルクとかガムシロップは?」
「ミルクは、戸棚の引き出しに、ガムシロップは冷蔵庫の……」
「どこだー?」
「えー? そこにない?」
「なんか、袋だけあるけど」
「あ、じゃあ、新しいのが確か、下の段の……」
「下の段? あ、やべ! お湯沸いてる……ど、どうやって止めるんだ?」
「え? お湯はボタンをカチッて押せば……」
ああ、こりゃ自分でやったほうが早いかな……。



