信じられない。
私の目の前にいる人は、紛れもなく常盤公生くんで。
しかも、いつものように、左手で前髪をいじりながら、右手には文庫本を持っている。
対する私は、髪の毛もセットしていない、パジャマ姿の……はぅ!
「ちょ、ちょっと何で来たの!?」
思わず扉を閉めてしまった。
すると、扉の向こうから少し大きい声で、
「仕返しだよ、ばーか!」
と聞こえてきた。
仕返し……ああ、土曜日の。
でも、でも……。
「な、なんで……こんな時に……」
すると、今度はさっきよりは、小さな声で
「いいだろ。知らない仲でもないんだし、俺たち」
私は、振り返った。
扉のガラスのシルエットが、頭を掻いていた。



