rain kiss『完』



「見たくないんだ。あいつを思い出そうと一生懸命な優美ちゃん。つらそうに見える。」

「つらくなんかないですっ。ただ……」

「…思い出すのが怖いなら、思い出さなくていい。」

「ー…。」


窓には雨が打ちつけている。
時々 雲が光る。


「俺が居るから。あんな、痛い思いさせない。」

「高野先生…。」




俺は、優美ちゃんを抱きしめた。



そっと。



もろく、壊れやすいガラスを扱うように。