rain kiss『完』


廊下では、優美の走る音が聞こえる。
優美の後を追いかける気力なんか残っていなかった。


ドンっ


俺は、崩れるようにして床に大の字で寝っころがった。


「はぁ…。」



少し…強くいいすぎたかな?





「新君…。」

びくっ。

「佳奈未ちゃん。それに龍平も。いつからそこに居たんだよ?」

「…ごめん。始めから。聞くつもりなかったんだけどー…ね。」

「別にいーよ。」

「いいのかよ。追いかけなくて。」

「龍平、聞いてたなら分かるだろ。俺は、頼られてねーんだよ。」

「……優美が、何を隠してるのか私だって気になる。ほんと、優美はどうしちゃったのよ…。」

「…」
「…」