続いてお兄さんもアールグレイを一つ…
マスクを浮かせて、口に入れた。
食べるときも取らないんだ…
どーかなぁ?
モグモグ…
考えるように、右に左に首を動かしてる。
どーなのかなぁ…?
美味しい?
美味しくない?
ドキドキうるさく鳴る心臓を抑えて、マスクの下で動いている口をジッと見た。
「ん…
美味しい…」
はぁ……
よかったぁ…
体中の力が抜けた…
「よかったら、イチゴジャムのほうも食べてみてください。
ジャムも手作りなんです」
「ジャムも手作りなの?」
小夜ちゃんは、お弁当もそっちのけにクッキーを食べだした。
お兄さんも一つつまんで、ジッと眺めた。
マスクを浮かせて、パクッ。
モグモグ…
新作のほうの感想が気になる…
どぉかなぁ…?
「美雨!
美味しい!」
小夜ちゃんの声にホッと胸を撫で下ろした。
お兄さんは?
顔を見ると、メガネの奥でニッコリ
「オレは、こっちの方が好き」
そういって二つ目を口に入れた。
よかったぁ…
やっぱりクッキーが嫌いな人なんていないんだよ!
あたしは、ニコニコとお弁当を食べだした。