小夜ちゃんと話していると、また電車が来た。
さっきよりはだいぶ空いたけど、今のあたしにはまだムリな混み方だった。
「小夜ちゃん、ごめん…
まだ、ムリだった…」
熱がある小夜ちゃんを付き合わせて、ホントはウソでも乗るって言えばいいのに、そんなことも言えない。
そのくらい、身も心も完全に凍えきっていた。
一人がこんなに寂しくて辛いって思ったことなかった…
そのとき、
「美雨!!
ここにいたのか?!」
もう言うことを聞かなくなっていた首をゆっくり上げると…
真っ白な息を吐きながら、肩が上下に動いている親戚の人。
探してくれてたの…?
あれ?
お兄さんが来てくれるって…?
親戚の人を見つめたまま動けずにいると、あたしの手からケータイを取り上げて
「小夜、着いたから。
もう、安心して寝てろ」
ケータイを切った。
待っててと何処かへ行ってしまって、ポツンと一人。
今まで小夜ちゃんが話していてくれたから、急に寂しくなった。
涙がこぼれそうになり、ギューっと膝を抱えてうつむく。
「お待たせ!
ほら、コレ!」
そう言うと、あたしの前にココアの缶が表れた。
ひざを抱えていた手をゆっくり掴まれて、その缶を握らせてくれた。指先から、ジワァ〜っと温かさが指先から伝わってくる。
「ほら、それコートのポケット入れて。
反対の手も」
もう一本、今度はコーンスープの缶を握らせてくれる。
「立てるか?」
あたしの肩を抱いてゆっくり立ち上がらせてベンチに座らせてくれた。
「靴、脱がすよ?」
なんで?
でも、今のあたしは言葉を口にする力も残ってなくて…
「こんなに冷たくなって…
ちょっと窮屈になるけど、あったかくなるから…」
靴下の裏にカイロを張り付け、その上からもう一枚靴下を履かせてくれた。
あたしは、もうされるがまま。
あったかい…
「…小夜から、だいたいのことは聞いた。
ごめん、やっぱりオレが送って行っていれば…
オレの責任だ、本当にゴメン」
あたしの目の前に座り、頭を下げた。
「違いますから…
電車に慣れてないあたしがいけないんです…
来ていただいて、あたしのほうが申し訳ないです」
高校生にもなって、人に迷惑を掛けるなんて…
本当に情けないよ…
ポケットの中で握りしめている缶をぎゅっと握りしめた。
「ありがとう…
あとは、責任持って送るから…
どっちかの缶、よかったら飲んで!」
それだけ言うとまた、何処かへ行ってしまった。
身体は温かくなってきたけど、まだ心は凍ったまま。
ここにいて欲しい…
心細いよ…
また涙が出そうになり、ぎゅっと目をつむり、下を向いた。

