ガタンゴトン…
あたし、電車に乗ってるよ…
平日のお昼すぎということもあり、ガラガラの車内。
普段、電車に乗ることのないあたしは窓の外の景色を楽しんでいた。
少し距離をあけながら、隣に並んで座っているお兄さん。
「…あのさ…」
突然話しかけられた。
「はい、なんですか?」
お兄さんのほうを向いたけど、メガネにマスク。うつむいているから、長い髪が顔にかかり表情はわからない。
「なんで、オレのとこ来たの?」
「なんでって、小夜ちゃんのこと心配だったから…」
「オレのこと、怖いって言うか…
変わり者とか思わないわけ?」
怖い?
変わり者?
ん?
言っている意味がわからなくて、返事に困っていると
「オレ、自分で言うのもなんだけど、結構学校で浮いてる存在なわけ。
こんな見た目だし…」
「あぁ、そーゆーことですか!」
やっと言ってる意味がわかったよ!
「小夜ちゃんのお兄さんだから、大丈夫です!
図書室で会った時は、そりゃビックリしましたけど…」
あれは、本当に怖かった…
今、思い出しても背筋がゾッとするもん。
「へ?」
お兄さんが、顔を上げてメガネの奥の目をまん丸くしてこっちを見てる。
あれ?
おかしなこと言った?
「えぇっと…
小夜ちゃんが良い子だから、お兄さんが悪い人なんてことはないわけで…
見た目とかどーでもいいって言うか…」
わかってもらえるかなぁ…
自分の気持ちを伝えるの苦手なんだよね…
あっ!
「でも、目が悪くなるから前髪は切ったほうがいいですよ!」
人差し指を顔の横に立てる。
教室で会ったときから、ずっと気になってたんだぁ!
あの前髪邪魔じゃないかなぁって。
うん!
ちゃんと伝えられてよかった。

