ザザァーーー…




外で風が吹き、木々を大きく揺らした。



窓がガタガタと音を立て、外が暗くなっていたことに気付いた。



いつの間にこんなに暗くなっちゃったの…


こ…怖い…




この図書室、こんなに広かったかなぁ…



静寂がこだまする…



「か、帰らなきゃ…

小夜ちゃんに本を渡さないと…」


怖さを振り払うかのように、わざと大きな声で言ってみた。


バタバタと荷物を片付けて、ドアに歩み寄る…





ガラガラ…





「キャーーー!!!」





突然、ドアが開いた。



あまりにも驚いて、荷物を放り投げて尻もちを付く。



怖い…


怖い…









そこに居たのは…


背の大きな、男の人…



大きな黒ぶちメガネに、大きなマスク、
肩に届きそうな長い髪。前髪も長くて、目が見えない。



「あ… ゴメン…


驚かせるつもり、なかったんだけど…」


マスクの中から低くてこもった、ボソボソとした声が聞こえた…









怖い… 怖い…



頭の中全部が恐怖で、身体がガタガタと震え出し動けない。


その男が、図書室の中をぐるりと見渡し


その視線があたしに向けられる。





ビクッ!!


「ここにいるの、キミだけ?」




あたしに聞かれていると気付くのに時間がかかった。



固まっている首をなんとか動かして、頷くと



「そっかぁ…


じゃ、いいや…」




くるりと背を向けると、ドアを閉めて帰って行った。