「「はぁ?!」」


二人から驚いた声が重なった。


「友達… 辞めるの?」


紗弥ちゃんが、わからないと不思議な顔をしてる。

星ちゃんは、なぜかとんでもなくあたしのことを睨んでいて…



怖い… でも…




「うん…

だって、一緒にいられないから。

そんなの、友達でいる資格がないから…」



辛いけど、寂しいけど、あたしは小夜ちゃんを選んだから…




二人は顔を見合わせて、何やら目線で会話を始めた。




同時に大きく頷いたと思ったら…







「いひゃい…!!」


左の頬を星ちゃん、

右の頬を紗弥ちゃんにツネられた!!





なんで?!

イタイ!イタイ!!



ホッペを上下左右に引っ張ったり揺らしたり…



痛みで目に涙が…




「おい、美雨!

お前はバカなのか?!」


星ちゃんの怒鳴り声。


「バカだとは思っていたけど、ここまでだったとは…」



紗弥ちゃんは呆れ声。



「はかはかいはなひでよ…」

「はっ?! 何?!」


星ちゃんの迫力のある声が耳元で聞こえて…


星ちゃんは、キリリとした顔して、ベリーショートの髪型。

スポーツを何もしてないのに、骨格がしっかりしててガッチリ体型が悩み。


なのに、コンビニは不良の溜まり場!っていつの時代のことだかわからないことを言って、絶対に行けない小心者。


そんなことを知っていても、怒った顔はとても怖い。


縮み上がっていると


「星蘭! 気持ちはわかるけど、怖すぎるから睨むの止めて…」

紗弥ちゃんが星ちゃんをなだめて、やっとホッペを離してくれた。


イタイよ…


ジンジンする頬を抑えていると


「美雨、その痛みが今の私たちの心の痛みだよ…」





心の痛み…?




静かに紗弥ちゃんが話し出した。




「友達辞めるって、それはできない。

美雨が、ない頭で考えたことなんだろうけど、私たち傷付いたよ。

この一週間くらい離れて過ごしても、私たちは友達だった。

これからも、進学や就職して離れ離れになっても、ずっとずっと友達だよ。

進藤さんと友達になったから、一緒に過ごせないから、そんなことで簡単に辞められるくらいの関係だったと私は思ってない。

ずっと一緒にいることだけが友達じゃないんだよ。

お互いのことを大切に思ってるから、どこにいても友達なんだよ」




そっかぁ…


そうだよね…


あたしったらなんでそんな簡単なのことに気付かないんだろう…




「ホントにバカ!

あたし、友達やめるって聞いた時、マジでぶん殴りそうだった!

紗弥加が止めてくれたから、ほっぺで我慢したけど!!」



ウルウルしていた涙が一瞬で止まるほどの迫力。



あの目線の会話でそんなこと話してたの?!



紗弥ちゃん、ありがと…




「ごめんなさい!」


また、大きく頭を下げた。


「わかればいいよ!

でも美雨は、本当に進藤さんと一緒にいるの?」


紗弥ちゃんが心配そうに聞いた。


「うん!

あたし、小夜ちゃんのこともっと知りたいから」


星ちゃんと紗弥ちゃんが、眉間にしわを寄せてお互いを見あってる。



また、目線で会話していると思ったら、2人で大きく頷いた。



「わかったよ。

でも、何かあったら絶対言ってね!」



あたしの手を包み込むように、ギュッと二人で握ってくれた。



「うん!

ありがとう!」




こんなあたしのこと、こんなに心配してくれてる友達がいる。


小夜ちゃんにも高校生活を楽しんでほしい。


何ができるかわからないけど、
一緒にいることで何かわかるかもしれないから…