「進藤さん…
テスト、どーするの?」
そっと近付き、静かに話しかけた。
「私は、一人で受ける」
「そっか。
そーだよね…」
「…」
窓の外を見上げた。
いい天気だ。
五月晴れって言うんだろうなぁ…
「…私のこと、知ってるでしょ?
私と関わらなくていいから。
何があったか知らないけど、酒井さんたちと仲直りしたほうがいいよ」
振り返ると、真っ直ぐ黒板を見たまま進藤さんが話していた。
「うん…
そーなんだけどね…
一人もいいかなぁって…」
窓枠に、両腕を付けて、その上にアゴを乗せた。
「そんなの、ダメだよ。
友達は大切にしなきゃ!」
背中に視線を感じて振り返ると、進藤さんが悲しそうな今にも泣きそうな顔であたしを睨んでいた。
その視線に引き込まれるように、ジッと見つめた。
「進藤さんと友達になったら…
あたしのこと大切にしてくれる?」
あの日から、友達が何なのかわからない。
中学から仲良くしてきたつもり。
たくさん笑いあって親友って呼べる仲だと思っていた。
ケンカもしたけど、すぐに仲直りして…
でも、今回は誰も言い出さない…
あたしも言い方が悪かったし、睨んじゃったことはいけなかったって思ってる。でも、進藤さんのことを悪くいわれたことはどーしても許せないから言い出せなくて…
中学の頃とは、違うのかなぁ…