ひとしきり笑いあって、


「運んでくれてありがとう!

重かったでしょう?」


申し訳なさと、2人の優しさに笑顔がこぼれた。



でも、星ちゃんと紗弥ちゃんは顔を見合わせ苦い顔をしている。



「…実は、運んでくれたの、進藤さんなんだ。

あたしと紗弥香で運ぶって言ったんだけど、一番力があるからって…」


そーだったんだ…


「体育終わるまで付き添ってくれてて、それからは保健室の先生に戻るように言われたみたい…」


進藤さんが…


「ありがとね…

あとで、お礼言わなきゃね」


「うん…

でも、美雨… 進藤さんは…」


紗弥ちゃんが言いにくそうに、頭の中を整理するように、ゆっくり…


「進藤さんのお兄さん、2年にいるんだけど、変わり者で有名なんだよ…

格好もダサいし、誰とも話さないし…

だから、仲良くするのやめたほうがいいよ…

体育のペアは仕方なかったけど、これからは関わらないほうが…」



紗弥ちゃん?





どーしてそんなこと言うの?




進藤さんのこと、何も知らないのに…




居残りしなくて済んだのも、進藤さんのおかげなんだよ…





「紗弥ちゃん!

そんなこと言っちゃダメだよ!

進藤さんはいい人だよ?!

何も知らないのに人の悪口言うの良くない!」

自分でも驚くほど、大きくてキツイ口調だった。


紗弥ちゃんは、何もないのに人の悪口を言う人じゃない。

あたしのことを心配してくれてるのわかっているのに、その日のあたしはどうかしていた。



進藤さんの悪口を言われたことが、すごく腹が立って仕方なかった。

紗弥ちゃんを睨みつけていた。