「遅刻していけばいいから…」


小夜ちゃんは、しまった!と顔をしかめて、うつむく。


お兄さんの話をしたのとを悔やんでいるようだった。


あたしは、嬉しかったのにな…


「試合近いし、大事なミーティングじゃないの?」


「大丈夫だから!」



気を取り直したのか、顔を上げて笑ってる。

でも、その顔はなんだか辛そうだった。




「今朝、英語の課題教えてくれたお礼だよ。

そのくらいしかできないけど…」


机に人差し指でくるくると、わざと悲しそうに、いじけるようにしてると


「ごめんね…

じゃ、頼んでもいいかなぁ…?」


ちょっと慌てたような、申し訳なさそうな声がした。




やった!!


小夜ちゃんの役に立てる!



「当たり前じゃない!

ちゃんと借りてくるからね」




今日はあたし、頑張るよ!!



「ありがと!」




小夜ちゃんの笑顔が本物になった。


こんな美人さんに見つめられると、こっちご恥ずかしくなっちゃうよ…


「うん! そのくらい任せて!」



あたしにできることは、やってあげたい。

あんまりないんだけどね!へへっ…