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昼休みももうすぐ終わりの頃。


ブーブー…


小夜ちゃんのスマホが鳴った。


「…」



画面を見て、眉間にシワを寄せた。


「どーしたの?」



「うん…

ちょっと兄貴から…」


小夜ちゃんには、同じ学校に1こ上のお兄さんがいる。

毎日のように、用事を小夜ちゃんにラインしてくるんだ。


あたしは、『変わり者』ってことだけ知ってるだけで、あとは何も知らない。

小夜ちゃんが何も話さないから、聞かないほうがいいのかなぁって思って。



いつも振り回されているけど、愚痴ひとつ言わない。



「難しいことだった?」


いつも顔色も変えず、言われたことをこなしているのに、なんだか様子がへん…


「図書室で本を探して欲しいって…

今からじゃ、間に合わないし。

放課後は、部活のミーティングがあるんだよね…」


はぁ…と珍しくため息を吐く。




これってチャンス?

いつも助けてもらってるし…



「あたしが行ってくるよ!

今日の放課後、ちょうど行こうと思ってたから」


ナイスアイデア!

カバンをごそごそして、ジャジャァ〜ンと借りていた本を出した。

これ、今日中に返さなきゃいけないんだ。

ちょうどよかった!