涙がとまって、落ち着いたのかポツリポツリと話し出した。


「学校で、美雨を兄貴に合わせないようにしてきたんだ…

美雨、怖がりだから。絶対嫌われると思って…」


そーだったんだ…

確かに、一度も学校ですれ違ったりすることもなかったなぁ…


小夜ちゃんが避けてたからだったんだ…



「兄貴のせいで、図書室に行けなくなるなんて絶対イヤだったから。

私のこと嫌いになられても伝えなくちゃって…」


階段の壁にもたれながら、二人で並んで座った。


「小夜ちゃんのこと、嫌いになったりしないよ?

お兄さんにも、合わせてくれたらよかったのに!」


ニッコリ微笑んだ。


「だって、学校一の変わり者なんだよ?

その妹ってわかったら、誰も友達になってくれなくて…」


声がどんどん沈んでいく。


「最初に言ったでしょ?

お兄さんのことは関係なくて、あたしは小夜ちゃんと友達になりたかったの。

小夜ちゃんは小夜ちゃんだし」




あたしは、5月のころを思い出した。