周りがうるさいので、人混みをかき分けて裏庭に駆け込んだ。



あたしの知ってるお兄さんは、大きな黒ぶちメガネに、大きなマスク。

真っ黒で長い髪の人なんだけど…




今、小夜ちゃんと一緒にいるのは…

背格好は同じだけど…



茶色に染められた髪がサラサラとなびいて、メガネもマスクもない。

切れ長の瞳に、スッと鼻筋が通っていて、キレイな唇がセクシーだ。


あれ…?

でも、よく見るとどこかで見たことあるような…?



「美雨、わかんない?」

小夜ちゃんの声にやっとイケメンさんの顔から視線を外す。



「ん?

わかんないって?」


言ってることがわかんない。


首をかしげると


「この人は… シドさんだよ!」


シドさん?

お兄さんじゃないの?


小夜ちゃんの言ってることが全くわからないんだけど?!



小夜ちゃんは、ため息を吐きながら



「本当にわかってなかったんだね!

まぁ、前のお兄ちゃんは仕方ないのかなぁ。

よく聞いてよ!


宇宙と、シドは同一人物!」



「えーー?!

ウソウソ!

だって、全然違ったよ?!」


小夜ちゃん、何言ってるの?

あたしをだまそうとしたって、そうはいかないんだから!

「お兄ちゃんのメガネとマスク取ったの見たことある?」

「ない…」

「シドさんの顔、よく思い出して!」


お兄さんの髪をぐっとつかんで、後ろに引き上げる。

あれ…?

この顔は…


「シドさん?!」


「だから、そー言ってるじゃない!

メガネとマスク外して、髪を後ろで結んだのがシドさん。

メガネとマスクして、髪を下ろしてたのがお兄ちゃん」


「全然わからなかった…

てか、それなら教えてよ!!」

「美雨、それはオレが頼んだんだ。

まさか、気付かれないなんて思わなくて
面白くてつい!」


つい…じゃないでしょ?!



恥ずかしい…恥ずかしすぎる…