茶碗を2人の前に置くと、
ありがとう、ニッコリと微笑んでまた食べ進める。
「…おい、新幹線の時間は大丈夫なのか?」
一緒に食べていたお兄さんが時計を見た。
「あぁ?!
もう、こんな時間!
時哉さん、荷物の準備をしなくちゃ」
「おお?!
そーだったな」
ゆっくりと箸を置くと
「「ごちそうさまでした」」
背筋をのばし、手を合わせた。
「美雨ちゃん、とても美味しかったよ。
忙しくて、外食続きだったから、家庭の味が身にしみたわ」
お母さん…
「美雨ちゃんは、いつでもお嫁にいけるね。
こんな子の彼氏は幸せだ!
これからも小夜と仲良くしてやってくれ」
それから、食事のときの優雅さとは変わって嵐のように二階へ駆け上がり、ドタンバタンと物音を響かせて、階段を駆け下りる音が聞こえたかと思うと
「「いってきます!!」」
ドアから少し顔を出して行ってしまった。
……?
椅子に座りながら、さっきまでドタバタ聞こえていた音がなくなり、静かになったダイニングで、ポカンとしてしまった。
小夜ちゃんとお兄さんは、何事もなかったかのように食事を進めている。
「いつものことだから、気にしないで」
小夜ちゃんが声をかけてくれるけど、放心状態で言葉が出ない。
「今日は、飯食ったから、長くいたほうがなっ」
「そーだね。
久しぶりに、家で一緒に食事した気がする」
淡々とした兄妹の会話をしながら、パクパクと食べ進める手は止まらない。
気がついたときには、食べきれないと思っていたのに食事がキレイになくなっていた。
あたし、あまり食べてなかったけど、お父さんたちを見てたら、驚きすぎてお腹いっぱいになっちゃった。

