…もう、ムリ…
ホント、ムリ…
でも、この坂上がれば…
ゴール…
かも…
「美雨!!!」
… みさめ…
誰だっけ?
あ…
あたしの名前だ…
あの声は…
小夜ちゃん…
コンクリートをずっと見ながら、歩いてるんだか走ってるんだかの早さでここまでやってきた。
「美雨!
もう少しだから、頑張って!!」
小夜ちゃん…
小夜ちゃん…
小夜ちゃん!!!
ゴールラインを越えて、膝から崩れ落ちそうになったところを受け止めてくれた。
「美雨、頑張ったね…
お疲れ様!」
あたしの乱れた髪をさらにぐしゃぐしゃとかき回しながら、撫でてくれた。
「…はぁ、はぁ…
ありがと…
小夜ちゃんは…
何位だった…?」
ノルマ、大丈夫だったのかなぁ?
「私は、なんと3位!!」
「さっ、3位…?」
だって、陸上部もバスケ部にも早い人がって…
「全部、美雨のおかげだよ!!」
あたし、何もしてないのに…
ギューっと抱きしめてくれる小夜ちゃんの髪がくすぐったい。
楽しそう話す小夜ちゃんの顔が、いつもどこか影があったのがなくなっている。
小夜ちゃん、ホントに嬉しいんだ…
よくわかんないけど、小夜ちゃんが喜んでくれてよかった。
こんな笑顔の小夜ちゃんに会えたんだから、頑張って、ゴールしてよかった…
心からそう思えた。

