いよいよ、終業式と持久走大会当日の朝。


朝から緊張と不安で、胃がイタイ。


「美雨、大丈夫?」

「ダメ…

15キロなんて絶対無理だよ…」


はぁぁ〜


口を開けば愚痴とため息しか出ない。


「そろそろ、男子のスタートだね」


「もう?!

その10分後には、あたしたちも走ってるんだね…

ゴールで待っててね」


「うん!

ゴールまで来たら、私が支えて上げるから、そのまでは這ってでもきて!」


冗談に聞こえない…

ゴールで小夜ちゃんに会えるかなぁ…


「お兄さんは、大丈夫そう?」


スタートラインに集まってきた男子の姿の中にお兄さんの姿は見つけられない。


「うん…

今日はすごく張り切ってたよ」


「じゃ、本当に10位以内もあり得る?」


「残念だけど、それはないんじゃないかなぁ…

男子で5人長距離の陸上部がいるんだって。

他の部活も早い人いるしね…


美雨が言うように、順位に関係なく頑張ってくれる気持ちが大切かなぁって。

参加してくれるだけで十分だったのに、久しぶりに頑張ってる兄貴の姿を見られるって思ったら、私も嬉しくて。


ありがとう、全部、美雨のお陰だよ」


小夜ちゃん…

あたしはいつも小夜ちゃんに助けられてばかりで、何もしてあげることができなかった。


こんなあたしでも、小夜ちゃんの役に立てることがあった。

あたしは、それで十分だよ。



「位置について、用意…

バァーーーン!!」