「そーだけど…」


小夜ちゃんには、いつも体育で助けてもらってるから何も言えない…


「今年のバレー部ノルマは?」

お兄さんが話題をそらしてくれた。


バレー部は、毎年ノルマがあるって知ったのは最近。

一人でもこなせないと、連帯責任でペナルティーがある。


連帯責任好きな先生だなぁ…


「今年は、50位以内!」


1.2年全員合わせて320人くらいで、女子の方が少し多くて170人。


50位かぁ…

女子バレー部20人くらいいるから、かなり大変なんじゃないかなぁ…


「小夜は、何位ねらいなの?」


体育の授業で持久走やってるけど、10キロは走らないから。



「うーん…

陸上部いるからね。


20位くらいかなぁ…」


ちょっと悩みながら、質問に答えた。


「20位かぁ〜!

現役なんだから、もっと上目指せよ!」


バカにする口調で、挑発する。


「バカ兄貴!

陸上部もいるし、バスケ部にも早い人いるし!

じゃ、兄貴は何位狙いなの?!」


「10位以内?」


冷静な声で答えた。


「じゅ、10位?!

何バカなこと言ってるの?

だいたいさぁ、去年は何位だったのよ?!」


小夜ちゃんが怒りながら、机をたたく。


「148位」


「はぁ?!

そんなんで10位以内なんてどの口が言うのよ?!

無理に決まってるじゃない?!」


フンっと横を向いてしまった。



「美雨は、どー思う?」


急にあたしに話を振られた。


「え…

正直に言ってもいいですか?」


「どうぞ!」

怒りながらの小夜ちゃん。

「いいよ…」

にこやかな声のお兄さん。




「あたしも… 無理だと思います…」



言っちゃった…


小夜ちゃんもお兄さんも怒らないかなぁ…