しばらく歩くと空を見かけた
「空」
声をかけると空は振り返った
「十夜」
そして近づいてくる
「どうしたの?」
「いや別に、声かけただけ」
「ふーん、そっか」
空との関係性は正直よくわからない
でも確実にいえるのは"俺達は付き合ってない"
あーあれだ、"友達以上恋人未満"ってやつ
こいつと初めて会ったときにはこんなに仲良くなるとは…
こんなに長く一緒にいるとは思わなかったな…
「十夜?」
空は不思議そうに俺を見てくる
いつの間にか空のことをじっと見ていたらしい
「なんでもねーよ」
空のでこを弾く
「いったぁーっ!!何なんだよっ!!」
「ほら行くぞ」
空は少し涙目になっていた
今はこんなに明るくなったけど、昔は本当に危なっかしくて…
たまに思う
あのときこいつが抱えていたものに気づかなかったら、空はもうこの世にはいなかったんじゃないかって…