「ねえ、あなた?」
「ん?」
その日見舞いにきていた父に母はいった
「怒らないで聞いてね?私ね小さい頃は両親とあまり一緒に遊んだ記憶がないの。二人とも働いていたから」
父は何の話だろうと思って聞いていた
「私の誕生日とかクリスマスやお正月、全部お手伝いさんと過ごしていたの。愛情をもらってなかったわけじゃないのよ?ちゃんとプレゼントとかはもらっていたから…でもね、やっぱり少し寂しかったのよ」
母は悲しそうにいった
「だからね、大きくなったら好きな人と結婚して子どもを産んで、そしたらその子をう〜〜〜んと可愛がって!親バカっていわれちゃうくらい可愛がって、楽しい思い出をたくさん作ってあげたいなって思っていたの。」
「…」
「ねえ、あなた?もし私が助からなくてこの子と2人になってしまったとしても、この子に寂しい思いだけはさせないであげて?仕事で忙しいときも10分、ううん5分でもいいからこの子の側にいてあげて。話を聞いてあげて。それだけでこの子はきっと喜んでくれるから…
…これが私の最後の願いだから」
父は母を抱きしめた
「…縁起の悪いことをいうな。お前は助かるよ!先生達が助けてくれる。3人で幸せに暮らせる!!お前もこの子を幸せにしてあげられるんだ!誰一人諦めていないのにお前が諦めるな…!!」
母は父の腕を握って
「…そうね、この子も頑張っているんだものね。…早くこの子の顔を見たいわ。抱きしめたい…」
父はしばらく母を抱きしめたままだった
母は静かに涙を流していた
絶対に2人とも助かる!
父はそう信じ続けていた
