「先生、この子を優先してください」
母は先生をまっすぐみていった
「この子は今も元気に育ってくれています」
今度はお腹に手を置いていった
「この子を産んで少しでも私が生きれる可能性があるなら私はその可能性にかけたいです。せっかく私達を選んで産まれてきてくれるんです、私はこの子を諦めたくない…」
このときの母の顔はすでに母親の顔になっていた
その言葉、そして母の表情をみて父の気持ちも決まった
「先生、この子と妻を助けてください」
「全力を尽くします」
このときから病気との戦いが始まった
病気の進行、そしてお腹の子のことを考えて出産は帝王切開をすることが決まった
この日から母は病院に入院した
