食べ終わってから食器を洗っていても十夜は帰る気配を見せない
「十夜ーもう11時になっちゃうよ、終電なくなっちゃうんじゃない?」
「んー」
十夜は桜琳病院がある隣町に住んでいる
実家ぐらしだった
十夜はわざわざ朝早くの電車に乗って今の学校に来てる
もっと近くの、頭のいい学校だって入れたのに
でも、そうさせたのはわたしだ
十夜は何も言わなかったけどわたしを心配してわたしと同じ学校に入学してくれた
医者になりたいって思ってるのに…学校選びは重要なのに…
もう"ごめん"なんていえない。そんな言葉じゃ足りない。
中学3年生のとき、わたしが隣町の学校に行くといったとき
十夜はすぐに"俺もそこにする"っていってくれた
さすがに戸惑った
あれだけ頭がよかったら他の学校だって狙えるのに…って
でも、心のどこかではうれしかった
