「…はぁ、空…」
振り返ると十夜がいた
「やっぱりここにいたんだな。お前嫌なことあったらすぐ屋上に来るもんな」
ここは病院の屋上。
もう夜だからかわたしと十夜しかここにはいない
「大丈夫か?」
十夜がわたしの隣に立った
「…別に、いつものことじゃん。」
あの人と顔を合わせるといつもそう。
こうやって怒鳴られる
何もしていなくてもわたしがそこにいるだけであの人は怒鳴ってくる
特に遼が生まれてからひどくなった
「喧嘩しないですむように、遼に心配をかけないように家を出たのに…逆効果だったかな」
高校に進学してから一度も家には帰っていない
少しはましになってるかなって思ってたけど、やっぱり何も変わらなかった
「遼は寂しそうだったぞ。たまに会ったら必ずお前のことを聞いてくる。空姉ちゃんは元気?って」
「…」
