病院に向かっている間、橘さんはずっと手を握ってくれていた
「私たちがついてますよ」
「…ありがと」
その手が温かくてわたしはぎゅっと握り返した
たまにミラー越しに先生と目が合う
"絶対大丈夫!!"
そういわれているみたいで涙が出そうになった
遼…お願いだから、無事でいて…っ!!
「今向かってる病院って…」
「桜琳(オウリン)病院。俺ん家の病院だ」
「御剣くんの?」
「あぁ」
十夜の家は隣町にある大きな病院を経営している
おじいちゃんの代から経営しているみたい
1つの病院にいろんな科が入っている結構大きな病院。
名前に"桜"が入っているからか病院にはたくさんの桜の木が植えられている
春になると花見客がよく来るらしい
十夜は一人っ子だから必然的に十夜が病院を継ぐことになるけど、十夜のお父さんは無理に継がせる気はないみたい
好きなことをやって欲しいっていう親心。
でもわたしは知ってる。
十夜は病院を継ぐため、医者になるために勉強を頑張ってること。
学校の授業にはあまり出ていないけど成績はとてもいい
誰にも見られないように勉強しているみたい