先生は出ていくのを見てわたしに振り向いた
そしてゆっくり近づいてわたしと同じ目線になってくれた
「来るの、遅くなってほんとごめん。」
わたしは無言で首をふった
助けに来てくれた
ちゃんと助けてくれた
それだけでわたしは十分だった
「こんなことされる前に助けたかったんだけど…」
先生は悔しそうだった
「ちゃんと、助けに来てくれたじゃないですか…それだけで十分ですよ」
わたしは笑った
先生は少しためらいながら頭をなでてくれた
たぶんわたしのことを気遣ってくれてる
「久住大雅って名前、噂で聞いたことあったんだ」
「噂?」
「ん、悪い噂。嫉妬深くて付き合ってる人によく暴力を奮ってるって…早くその噂を思い出すべきだった」
あ、その噂聞いたことある。
わたしが告白されるときに聞いたことあるって思ったのはその噂を聞いてたからだ
先生は申し訳なさそうに俯いている
