〜 遥 視点 〜
『お姉さ〜ん
一人なの?乗せて行ってあげようか?』
僕は慶都がシャワーを浴びている間に
慶都の元から姿を消した
そして、あの街を出ようと一人、家すら見当たらない道を歩いていたら、若い男が二人乗っている車が目の前に止まって声をかけてきた
電車やタクシーなど乗ると
他の奴等に見つかると思って歩いてきたが……
疲れたし、まあ……いっか…
「じゃあ、乗せてもらおうかな〜?」
『おいでおいで〜』
フフッ……
僕を厭らしい目で見つめて……
そんなに相手にしてほしいの〜?
「お願いしま〜す」
助手席に座っていた男は、後ろのドアを開けると僕が座ったのを確認して
自分も僕の隣に座ってきた
司を忘れられないのは、分かってる……
だけど……
一瞬だけでも、司を忘れられるなら……
僕は、自分の身体を売るよ
『お姉さん、綺麗だね〜
俺ら、お姉さんみたいな綺麗な人初めて見たよ〜』
「嬉しいな〜
でも、他の人たちにも同じこと言ってるんでしょう〜?」
『そんなことないよ〜
マジ、お姉さん綺麗だし可愛い!!
俺、お姉さんのこと好きなっちゃいそう〜』
「本当に?
じゃあ、キスしてくれる…?」
『『えっ……!?』』
二人は、僕の言葉が意外だったのか
驚いたような表情をして僕を見つめてきた
あっ、もちろん
運転してる方は、車を脇道に停めたよ〜
「ねぇ、僕と遊んでくれる…?」
僕は、隣に座っている男の身体を指で上から下に撫でると上目遣いで言った
『お、お姉さん……ま、マジ?』
「ん?マジだよ……
僕じゃ……相手にしてくれない…?」
『そ、そんなことない…っ!!
てか、その気なら……』
男が僕を押し倒して、僕の顔に自分の顔を近づけてきたら………
ガチャ……!!
いきなり、男側のドアが開いた
僕と男は、開いたドアの方を向いた
「遥……やっと見つけたぞ…」
開いたドアから、顔は見えなかったが
僕が忘れようとしていた男の声が聞こえてきた
『おい、なんだよ…邪魔すんじ……うわぁっ!!』
男は、ドアの向こう側にいる男に文句を言おうとしたら、ドアの向こうにいる男に腕を掴まれて外に出された
運転していた男も仲間の男を助けようと車から出たら、一瞬のうちに二人とも返り討ちにされた
「遥………出てきてくれないか…?」
穏やかな声で話しかけているが……
僕は、その声を聞いて身体が震えていた
嫌だ
嫌だ……外に出たくない…
なんで…
なんで、ここにいるの……
僕は、腕で自分の身体を抱きしめ
開いているドアから遠ざかるよう反対側のドアに身体がつくまで遠ざかった
「遥……聞こえてるんだろ…?」
「やめてやめて……」
いない……
ここには、いない……
いないよ……
いるはずがない……
だって…
だって、司が……
司が僕の前に現れるはず……

