「遥さんや迅ほど上手くありませんよ」




「謙遜しないでよ〜
辰也くんなら、女を手駒にするくらい簡単でしょう〜?」




「まあ、照よりは上手いと思います」








照くんより上手いなんて当たり前じゃ〜ん

照くん、元水商売してたからといって
そんな上手いわけでもないからね〜









「なら、僕とキス……しよう?」










僕は辰也くんに抱きついて、ニコリと微笑むと……

辰也くんは、一瞬驚いた表情をして
すぐにまた不気味な笑いに戻った









「もう大丈夫なんですか?
男に簡単に触れても……」





「ああ、うん
もう大丈夫大丈夫〜

催眠術のおかげかな〜?
昔の僕に戻りつつあるんだよ〜」










良太の催眠術は僕には効かない

だけど、あのときの僕は精神が弱っていた


だから、良太の馬鹿な催眠術が効いたんだ

結果、昔の僕に戻りつつある状態なんだよね〜?










「そうですね………
俺がどれだけ上手くなっているか、遥さんで試したいですが……

今回は遠慮しておきます」





「えぇー
なんで〜?」










辰也くんは、そう言って
僕の肩を掴んで、自分の身体を僕から引き離した










「今の彼女を大切にしているんですよ
他の女性とキスしているところを見られたら……

きっと彼女は悲しみますから」





「フフッ………
辰也くん、カッコイイこと言ってるけど〜

その彼女は所詮、道具として大切にしてるだけでしょう〜?」





「俺はきちんと愛してますよ?
そうしないと計画が全て水の泡ですから」









うっわ〜

辰也くん、相変わらず怖い性格してるな〜


自分の思い通りに動かすためなら、自分さえ犠牲にするなんて〜

しかも、それも完璧にする辰也くん……


すごいな〜










「じゃあ、行きましょうか
もう待ち合わせ時間……過ぎていますから」




「僕が行っても大丈夫なの〜?
彼女、僕に嫉妬するんじゃない〜?」









辰也くんは、普段から女性と関わらないようにしている



女性と一緒にいるなんて………

絶対にしない



そのことに気づいている彼女が
僕と辰也くんが一緒にいるところを見れば……

それこそ水の泡じゃない?










「それが狙いなんですよ
嫉妬させて、より俺に夢中にさせるんです」




「ホント辰也くんって、怖〜い」



「それが俺ですからね」










まあ、そうだね……

怖くない辰也くんなんて、辰也くんじゃないもんね〜?









「さあ、行きましょう」



「フフッ……楽しみ〜」










僕は、辰也くんの腕に抱きついて
辰也くんに辰也くんの彼女が待つところへ連れて行ってもらった











さあ〜て

どんなことになるかな〜?