「あっ、でも………
一度だけ、僕の前で本当の姿見せてくれたときあったな……」
『えっ……?い、いつ……?』
俺、あのとき……
遥に本当の自分を見せたっけ……?
遥の前では、ずっと偽ってたはずだけど……
「僕の誕生日のときだよ
ほら、僕の誕生日のとき……
外すごく雨降ってて、湊人びしょ濡れで僕に会いに来てくれたとき!
僕、まさかこんな雨の中会いに来てくれると思わなかったから……
すごく動揺して、すごく嬉しかった
湊人、僕に誕生日プレゼントくれたじゃん
濡れないように、服の中に入れて
僕に渡したじゃん」
『ハートのネックレス……』
覚えてる………
俺、遥に似合うと思って……
ハートのネックレスを渡したんだ
遥の誕生日と蓮華の誕生日が同じで……
俺は、いつも蓮華の誕生日には…
蓮華と一緒に過ごしていたが……
蓮華の誕生日のことをすっかり忘れて…
俺は、遥の誕生日を、遥と一緒に過ごした
たぶん、このときにはもう………
俺は、遥に恋していたんだと思う……
「そう!
ハートのネックレス!
僕、それが嬉しくて……
湊人にお礼を言ったら……
湊人……
『俺の彼女なんだから……
お礼なんていらないよ』
……って言って、僕に微笑んだんだよ…?
そのときの笑顔がね……
僕以外に見せる……
すごく綺麗な笑顔だったんだよ……?
その日は、湊人ちょっと優しかったかな〜
いつも僕を抱くのに、その日は僕を抱きしめたまま一緒に寝たから……
たぶん、あのときが……
僕の前で初めて見せた、湊人の素だったんだと思うよ」
俺は………
いつの間にか、遥の前でも素を出してたんだな………
遥の誕生日………
たぶん、あのときが俺にとって……
かけがえのない1日だったんだと思う
「あっ、そうだ!
ハートのネックレス……
僕まだ持ってるよ
今日、僕の家来てよ
そのとき、湊人に返すよ
僕がいつまでも持っててもいけないからね……」
遥は、俺にネックレスを渡すと言った
遥は、俺との関係にケリをつけるつもりなんだ
もう俺たちの関係は、なくなる……
前にケリをつけたつもりだったけど……
やっぱり、無理だな……
遥が結婚して子どもが出来ても……
諦めることが出来ないよ……
もう遥の心を傷つけたくない
俺が遥に関係を迫っても、遥が傷つくだけだよね……
なら、俺は……
遥を好きなまま、遥から離れる
『もうそれは遥のものだから……
遥が好きにしてくれ
捨てるなり、売るなりしてくれ』
俺が持ってても仕方ないから……
遥の手で終わらせてほしい
「分かったよ
じゃあ僕が処分するね」
『うん』
遥……
未練タラタラの男でゴメンね……

