〜 湊人 視点 〜
「………………」
「ん?司〜
どこ行くの〜?」
「何か飲み物買ってくる」
「そっか〜
じゃあ、オレンジジュース二つ買ってきて〜」
「ああ、分かった」
司くんは、この場にいるのが辛いのか
俺らから離れた
遥は、そんな司くんの様子を気にも止めないのか、ただ昴くんを抱きしめていた
「ねぇ、遥………あのさ…」
「フフッ……」
遥は、いきなり笑い出し
俺は驚いて、司くんのことを言おうと思ったが、何も言えなかった
「司〜
可愛い♡
嫉妬してる〜」
「えっ……!?知ってたの…!?」
司くんが嫉妬していたことに気づいてたのか…!?
じゃあ、なんで………
「司ってね〜
他の男と僕が親しげに話しても嫉妬してくれないんだよ〜
でも、湊人と話すと……
あんな可愛く嫉妬してくれるから……
僕、すっごく嬉しいんだ〜」
なるほど………
だから俺にあんなことしたのか……
でも……
「元彼を利用するなんて……
酷いよ…」
俺は、まんまと遥に利用されたってわけか………
「ん?元彼って………
僕と湊人は付き合ってないでしょう?
湊人が僕と付き合ってないって言ったよね?」
俺は、その言葉に
遥は怒っているのかと思ったが……
遥を見ると、遥は何も感じていないのか
平然とした……いや、不思議そうな表情で俺に言っていた
遥………
昔のこと怒ってないの……?
じゃあ、今言った言葉は……
ただ、不思議に思って言っただけ?
俺とのことは、もう……
過去のことって割り切ってるってことだよね……?
なんか……
ちょっと……いや、かなりショックだな…
『ゴメン……』
俺は、なんて言っていいか分からず
ただ遥に謝った
「…………………なんで謝るのさ…
僕が湊人に怒ってるみたいじゃないか」
『ゴメン………』
「だーかーらーっ!
謝るな!
湊人ってホント、昔と態度違いすぎ!
昔、僕といたときは怖いくらい冷たかったのに……
今、何これ!
穏やかすぎ!優しすぎ!
こんなの湊人じゃない!」
『………………………あのときの俺は…
本当の性格じゃないっていうか……
元々は、俺……
こんな感じだよ…』
あのときの俺は……
遥を道具としか見てなかったから……
本当に酷い男でした……
「嘘だよ……
ホントは知ってた
湊人の本当の性格……
僕、知ってたよ
いつもニコニコ笑って周りを明るく照らして…
自分のことより相手のことを一番に考える優しい男……
それが、湊人だよね…」
『なんで…………』
「なんでそんなこと知ってるんだって顔だね……?
僕、あのとき本当に湊人のこと好きだったから……
湊人が普段僕以外の人と、どんな感じで接してるのか気になって時々街に出て
湊人を見ていたんだよ……
そのときの湊人って……
僕といるときとは全く違う表情をしてたから……
僕といるときが本当の湊人なのかな?って疑問に思ってたんだ
そのとき蓮華さんと湊人が一緒にいるとこ見かけてさ……
僕には見せたこともない優しい笑顔……
明らかに、その人……蓮華さんを大切にしてるって分かったんだ
それに気づいたときは本当に悲しくてね……
一晩中泣いたの覚えてるよ……
でも、湊人は僕と会ってくれていたから…
湊人の好きな人は、僕だって……
あの人じゃないって思うようにしたんだ
でも、まあ………
結局は、僕といるときの湊人は偽りだったし
僕より蓮華さんが好きだったわけだけどね?」
『遥…………』
違う……
違うよ、遥……
俺は、あのとき確かに蓮華が大切だった好きだったけど……
何より大事な……愛してたのは……
遥だったんだよ……
自分の気持ちに正直になるのが怖くて…
言い出せなかっただけなんだ
でも、蓮華が死んだとき……
蓮華を守りきれなかった自分を憎んで…
遥を捨てた
遥を道具としか見てなかった俺が……
遥に恋して、幸せになろうなんて……
許せなかったんだ

